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2019年1月12日に行われた第55回全国大学ラグビーフットボール選手権大会決勝。
初の大学王者を目指す関西王者天理大学と、22大会ぶり13度目の大学王者を目指す関東王者明治大学との一戦を振り返ります。
くしくも、東西対決となったこの一戦!!優勝したのは・・・。
試合のダイジェストと結果
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決勝戦前半 天理大学VS明治大学
天理大学のキックオフのボールを、明治大学が確保したが、連携ミスでノッコンを犯してしまい、天理大学ボールのファーストスクラムに。
ファーストスクラムで明治大学の反則を誘った天理大学は、ペナルティーでタッチにボールを出し、ラインアウトからモールを組むと見せかけたサインプレーで、フッカー島根一磨選手が先制トライ(5-0)。
明治大学も前半7分、連続攻撃からワイドに展開し、ウイング山崎洋之選手が同点のトライ(5-5)。
さらに明治大学はキックを上手く使ったエリアマネージメントと、天理大学のラインアウトの苦戦から、攻勢を強め、前半22分ウイング高橋汰地選手のトライ(5-12)。
前半終了間際、天理大学が明治大学陣地のゴールラインまで迫るが、アシペリ・モアラ選手のグラウディングを、明治大学が執念のディフェンスで防ぎ、明治大学が7点リードで前半を折り返す。
決勝戦後半 天理大学VS明治大学
開始直後から、両校ともロングキックでのエリア獲得を狙ったキック合戦になる。
次の得点がどちらに入るかが、ゲームの流れを決めかねない為、非常に慎重な後半の始まりとなる。
しかし、後半16分、それまでスクラムの力関係は天理大学が優勢に見えたが、明治大学がスクラムをプッシュし、天理大学の反則を誘い、ペナルティーゴールで明治大学が追加点(7-15)。
明治大学が後半最初の得点を奪ったことにより、ゲームの流れを引き寄せ、後半21分には、自慢の「重戦車」と呼ばれる強力フォワードで近場を攻め、フッカー武井日向選手のトライ(5-22)。
一気に明治大学が試合を決定づけたように見えましたが、天理大学キャプテン、フッカー島根一磨選手が後半29分に意地のトライ(10-22)。
キャプテンの気迫溢れるプレーが、天理大学フィフティーンを目覚めさせ、さらに後半35分、またもフッカー島根一磨選手が抜けだし、最後はセンター、シオサイア・フィフィタ選手のトライ(17-22)。
残り4分で5点差。
残り3分から、明治大学がボールキープに入るが、残り1分を切ったところで、モールアンプレアブルになり、天理大学ボールに。
逆転を狙った天理大学の気迫溢れるアタックに、明治大学の執念のディフェンス。
最後に勝ったのは、前回大会決勝1点差で泣いた、明治大学の執念でした。
シオサイア・フィフィタ選手のアタックに、執念のタックルでノッコンを誘い、ノーサイド(17-22)。
22大会ぶり13回目の大学王者に輝いた明治大学。
平成最後の大学王者として歴史に名を刻みました。
明治大学の勝因
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① ブレイクダウンでプレッシャーをかけ続ける
80分間ブレイクダウンでプレッシャーをかけ続け、天理大学のアタックを停滞させました。
勝負所のブレイクダウンでは、人数をかけて、天理大学ボールをターンオーバーすることに成功しました。
スクラムでは天理大学が優位に立っていましたが、明治大学自慢の強力フォワードはブレイクダウンの攻防で勝利を収めました。
② バックス陣の高い決定力
前半開始直後に、先制トライを奪われましたが、浮足立つことなく、すぐにバックスへのワイドな展開で、ウイング山崎洋之選手がトライを取り返しました。
このトライは、スコアをイーブンに戻しただけではなく、明治大学のバックスへの展開力が、天理大学のディフェンスを打ち破ることができる証にもなりました。
前半22分にも、バックスの高い決定力が発揮され、ウイング高橋汰地選手がトライを奪いました。
③ 天理大学留学生3選手に仕事をさせなかった
準決勝で大活躍した天理大学のロック、アシペリ・モアラ選手、No.8のファウルア・マキシ選手、センターのシオサイア・フィフィタ選手に試合終盤まで、ほとんど仕事をさせませんでした。
明治大学は、ブレイクダウンの攻防で優位に立っていたので、アシペリ・モアラ選手やファウルア・マキシ選手がラックに参加せざるを得ない状況を作り出し、2選手のボールキャリアの回数を減らすことに成功しました。
また、天理大学のラックからのボール出しを遅らせることに成功した為、シオサイア・フィフィタ選手が、スピードに乗った状態でボールを受けることはほとんどありませんでした。
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④ 後半の勝負どころでミスや反則を犯さなかった
後半、明治大学はアタックでも、ディフェンスでも大きなミスをすることはありませんでした。
特に、ディフェンスは最後まで規律を乱すことなく、天理大学のアタックを反則せずに止め続けました。
⑤ 観客席からの応援を味方につけることができた
観客席の明治大学ファンの大声援は、対戦相手へのプレッシャーになるのはもちろんのことですが、明治大学にとっても、状況次第では大きなプレッシャーとなり得る状況です。
しかし、決勝では、スタンドの大声援を味方につけ、勝利への力強い後押しにすることができました。
第55回全国大学ラグビーフットボール選手権大会!総括
22大会ぶり13度目の優勝で、明治大学が平成最後の大学王者の栄冠を手に入れました。
2019年ラグビーワールドカップの開催を控える日本とって、第55回全国大学ラグビーフットボール選手権大会は、単なる大学王者を決める大会ではなく、日本中のラグビー熱を更に高める役割も担った大会でありました。
帝京大学の偉大な連覇の記録に終止符が打たれ、創部100周年の早稲田大学の躍進、天理大学の快進撃による関西大学ラグビーの復活、そして、名門校明治大学の優勝。
話題性だけではなく、どの試合も接戦や、高いレベルでの試合を繰り広げ、観戦しているファンに感動や衝撃を与えてくれました。
ここまで見ごたえのある全国大学ラグビーフットボール選手権大会は、過去を振り返っても多くはないはずです。
第56回全国大学ラグビーフットボール選手権大会は、2019年ラグビーワールドカップが終わった直後に開催されます。
日本のラグビー人気を一過性のものではなく、継続して定着させる為にも、第56回全国大学ラグビーフットボール選手権大会は、またしても需要な役割を担います。
明治大学の連覇か!?帝京大学、天理大学のリベンジか!?早稲田大学、慶応大学、同志社大学など名門校の復活か!?新しい勢力の躍進か!?
今から楽しみでしかありません。